「Black Sheep Town」雑感

主に整理のために書いたもの。ちょっとしたネタバレもあるなので、たぶんいないと思うけど気にする人は読まないでください。


内容を簡単にまとめると、架空都市を舞台にし、世代交代が起因のギャング争いに巻き込まれた人々の生きざまを書かれた物語です(超能力あり)。
タイトルの「Black Sheep Town」、舞台となるY地区は、何らかの原因の普通の生活を過ごせない社会のはぐれ物、謂わば黒い羊の集まりという意味を込めている。

 

個人的に相当に満足度が高いシナリオではある。ストーリーの進み方は、いろんな登場人物の視点を切り替えながら、時間を追って物語を追体験する形です。時には回想を入れますが。

登場人物が多いが、雑に扱う感じがなく、印象に残るキャラも多いのが良かった点の一つです。はぐれ物ばかりの物語なので、いい意味で曲者が多く、それぞれの行動原理を一貫するところが面白いと感じる。
たとえばとあるキャラが、最初殺人鬼の加担をして殺人まで行った訳がわけわからなかった、ストーリーを進んで、キャラの背景と性格の理解を深めると同時にだんだん理解できるようになります。
最終盤までキャラ理解に大事な背景を隠すなど、一気にプレイヤーに全部の情報を掲示しなく、わざとモヤさせるのもありだね。

 

まだ、こういった超能力バトルによくある超回復能力の存在についても考えされた。
今作の超回復能力は不老不死レベル、制限と弱点があるものの、やはりチート級である。まだ、この能力を他人に与えることもできる設定のため、命が救われたキャラもいるほど。
それでも、あんまりにも犠牲者が多く、どのキャラがいつ死んでもおかしくない血みどろの本作において、この不老不死能力はうまく中和剤として作用している気がする。立場に逆らえず、どうしようもないキャラたちにとって、一種の救いでもあって、個人的に良かったと思った。

 

余談ですが、シナリオライター唐辺葉介こと瀬戸口廉也さんのいままでの作品の中に、一番のお気に入りは「電気サーカス」だった。「電気サーカス」は半自伝式で、淡々とした日常の進行で主人公の堕落を書き、妙にリアリティと中毒性を感じるタイプの本と比べて、本作みたいな比較的に複雑なストーリー構造の架空世界のギャングものもちゃんど書けることを素直に感心した。
でも、他の作品にでも散見されるキャラが自身の内面への問い(特に死に対しての解釈のこだわり)の健在から、間違いなく瀬戸口作品だなあと感じた。